2014年12月21日日曜日

西荻レヂデンスを終えて。

最終日は大雨。
めちゃくちゃ場所がわかりにくいにも関わらず、四階まで階段でしか上がることができないビルの最上階にある西荻レヂデンス。

人を拒絶した六畳一間の会場に、なんと二日間で80人以上が来館した。忙しすぎて最終日の写真はほとんど撮影できず。

会期中は色んなハプニングが起こった。作品を観たお客さんが観賞後に出演したお店に出向いて商品を買ってきてくれたり、わざわざ遠くの街まで人を呼び集めに行ってくれたり、感動したと涙を流して出てくる女の子もいた。



西荻サンタクロースは西荻に住む店主らの創造の産物だ。出演者のインタビューからサンタクロース像を作り、現実世界にぶっこんだ。まさか本物のサンタクロース500人を巻き込むことになるとは思わなかったけど。

出演してくれた店主達も見に来てくれた。僕が一番気になっていたのが彼らの反応だったのだが「もっと思い切り演技すりゃ良かったなぁ」とか「西荻サンタクロース2を作ろう!」といった反応で、作品自体に関しては満足していただけたようだった。

僕自身三年間お店を経営していたので、個人商店の気持ちが痛いほどよくわかる。サンタクロースなんて実はどうでもよくて、忙しいなか出演を了承してくれた店主達を応援したいという気持ちから生まれた企画だった。

二ヶ月間の滞在もこれで終わり。
来て頂いた皆様、出演者や制作に関わってくれた皆さん、本当にありがとうございました。

一 小鷹拓郎より。

画像「西荻サンタクロース」2014






追記!
西荻レヂデンスの搬出は完全に終わりましたが、好評につき、急遽12/24から別会場の吉祥寺Art center Ongoingで「西荻サンタクロース」が再展示されることになりました。
12月24日から26日まで。時間は12:00-21:00。見逃した方は是非!

http://www.ongoing.jp/ja/artcenter/gallery/index.php?itemid=374

2014年12月20日土曜日

ついに始まったよ上映会!凄まじい西荻力、二ヶ月の集大成

晴天の青空、二ヶ月間の西荻レヂデンスの成果を発表する上映展示が始まった!!


最初の数時間は全然人が来なくて心配したが、夕方からは僕の友人たちをはじめ、西荻の店主らから聞いてきたという人々も続々来館。あっという間に満席になり、交代制のような上映会に。

急遽借りた四階建てビル最上階の六畳一間の展示にこんなに人が来るものなのか?出演者たちが相当宣伝してくれているようで地元の力が凄まじい。これぞ西荻力!!本当に嬉しい。









そして映像作品と並行して作っていたもうひとつの集大成「西荻窪の真の地図」が完成!!何十年も蓄積された西荻の地図に、新たに書き加えたクソ汚い駄文。


500人を率いた至上最強のサンタクロースが見れるのは12/20で最後。地元店主らの毒づいた愛が詰まってます。12時から20時までやってるので是非!

2014年12月18日木曜日

国立奥多摩美術館の館長がやってきた!!

数日徹夜作業だった映像編集が終わり、これから17時間かけて完成データを書き出す。

そして夕方からは来客が。なんと巷で噂の国立奥多摩美術館館長がドイツ在住アーティストの長谷川くんを連れて西荻レヂデンスに初登場!



国立奥多摩美術館といえば、辺境の地で自主企画した展覧会「13日間のプレミアムな漂流」が話題を呼び、わずか13日間で来館1000人を突破した伝説の美術館!!

展示レビューはコチラ↓
アートスケープ「国立奥多摩美術館」福住廉

写真は、来館1000人達成時に観客らに胴上げされている佐塚館長。



展覧会を終えた佐塚館長は今何をしているのか?そして次は一体何をしでかそうとしてるのか?

今後のことについておしゃべりしつつ、西荻に来て早々会場作りの手伝いをしてくれる。口を動かしながらも手際よく作業が進みひと段落。さすが館長!




佐塚館長、長谷川くん、本当にありがとうございました!次回の国立奥多摩美術館も楽しみにしています。

2014年12月15日月曜日

500人のサンタクロースを率いた伝説の男

12月14日、西荻レヂデンスに広報担当のテラッコの皆さんがやってきた。映像編集も落ち着いてきたのでちょっとした試写会を開催。

作品はフィクションからドキュメンタリーへ。「サンタクロースが実在する」という架空の物語のはずが、西荻窪の出演者たちの演技力があまりに高すぎて、とんでもない事態に発展し、次々とミラクルが巻き起こる!!


写真は、総勢500人のサンタクロースを率いた「赤い服の男」五十嵐さん。ひとりの木工職人が、いつしか本物の、伝説のサンタクロースと化していた。



完成した25分の短編映画「西荻サンタクロース」は、12月19日と20日の二日間限定で「西荻レヂデンス」にてループ上映します。六畳一間のスペースです。

イベント情報はこちら!


小鷹拓郎「星降る聖夜、あなたのために乾杯を」
会期:2014年12月19日(金)、20日(土)
時間:12:00〜20:00
会場 : 西荻レヂデンス(杉並区西荻北3-18-10 4 F)※1階に西荻案内所がある建物の4 階です。十字路に面した階段で、最上階までお上がりください。
企画:西荻レヂデンス、テラトテラ
主催:東京都、東京文化発信プロジェクト室(公益財団法人東京都歴史文化財団)、一般社団法人Ongoing
後援:杉並区

詳細WEBサイト:テラトテラ「西荻レヂデンス」


 ― 星降る聖夜、あなたのために乾杯を。―

西荻窪は、中央線文化のかおりが色濃く残る東京23 区最西端のまちです。駅周辺には、店主の趣味が凝縮された個人経営のお店が集まり、大型チェーン店の進出などで日々均一化していく東京の中でも、このまちならではの文化を保ち続けている地域です。

「西荻レヂデンス」では、約2ヶ月間、アーティストが西荻に滞在し、このまちを舞台に作品を制作、発表します。まちの文化とアートの関係性、その間に生まれる表現の可能性を探ると共に、アーティストだからこそ見出せるこのまちの魅力を再発見することを目指しています。

そして本展「星降る聖夜、あなたのために乾杯を。」では、記念すべき第1回の参加アーティスト・小鷹拓郎が滞在中に制作した、西荻にサンタクロースが実在するという短編映画を発表します。映画の中では、西荻の人々がアドリブ演技に初挑戦!

小鷹はこれまで、地域の文化や住人の生き方を独自の視点で捉えた映像作品を、国内外の展覧会やアートフェスティバルで発表してきました。
小鷹の作品は、フィクションとドキュメンタリーを行き来しながら、わたしたちが知らず識らずの内に捕われている常識をユーモアを持って浮き上がらせます。「生きづらい社会」と言われるこの日常を軽快に渡り歩く小鷹は、今回もまた、未開のパラレルワールドにわたしたちを連れて行ってくれることでしょう。ぜひお気軽にご参加ください。



小鷹拓郎|Takuro Kotaka 1984年埼玉県生まれ。2009年から2012年まで都内でリサイクルショップ「こたか商店」を経営。 代表的なプロジェクトに、地域に埋もれた性愛文化を発掘した「国立奥多摩秘宝館」、落伍者達の楽園を求めて四国を一周した「ようこそ!堕落お遍路村へ」、妻を著名なアーティストと偽って国際芸術祭に出演させた「僕の代わりに妻のオノヨーコがパフォーマンスをします」、ポテトを通してアフリカの文化や歴史と対峙した「ポテトとアフリカ大陸を縦断するプロジェクト」などがある。近年は、着れないファッションブランド「ニコニコ山脈」のプロデュースや、肉体労働者の葛藤を描いた連載コラム「穴掘潜郎」を執筆。 主な展覧会に、2014年「13日間のプレミアムな漂流」(国立奥多摩美術館、東京)、「堕落お遍路村から学ぶ、愛と平和のディストピア」(Art Center Ongoing, 東京)、2013年「六本木アートナイト」(ガレージ酒場, 東京)、2012年「Bird in Residence」(Whitecliffe of Arts and Design、ニュージーランド)、2011年「ソーシャルダイブ 探検する想像」(3331アーツ千代田, 東京)、2009年「ジャカルタビエンナーレ2009」(Indonesian National Gallery, インドネシア)、2008年「KITA!! : Japanese Artists Meet Indonesia」(ジョグジャ・ナショナル・ミュージアム, インドネシア)などがある。


2014年12月13日土曜日

実在しない狂人を創りだした店主たち

「赤い服を着た男」に関するインタビュー撮影を終え、撮影した映像を見直す。
いやいやいや、西荻窪の人々の演技力には本当に驚かされた!


そもそも「赤い服を着た男」なんて存在しないのだ。


しかし、西荻窪の人々のインタビュー証言には鬼気迫るものがあり、真実味を帯びている。撮影は全て一発撮りで、台本は存在せず、セリフも全てアドリブ。にも関わらず、実在しないはずの男がそこに立っていた。

当初のプランではこの時点で作品としてまとめようと思っていたが 、西荻窪の人々によって過剰な要素を注ぎ込まれたこの狂人にどうしても会いたくなった。


「無口でボサボサの長髪、猫背で身なりは貧しいが、教養があり、赤いツギハギのロングコートを身に纏い、毎年クリスマスシーズンになると現れる、50歳か60歳くらい、常にカートを引いている男。妻はガン。」


実在しなかった人物を作り出すため、六畳一間の部屋で作業が始まった。西荻レヂデンスのボスである高村さんやテラッコが集まり、連日に渡って夜通し作業。

「赤い服を着た男」は、木工職人の五十嵐さんが演じてくれる事になった。五十嵐さんは北海道と奥多摩のアトリエを行き来して子供のオモチャや家具を作っているというリアルサンタクロースのような方。しかも50代で長髪。撮影の前日まで北海道で仕事をしていたようで、わざわざ飛行機に乗って駆けつけてくれた。本当にありがたい!



そして次回!
ついに存在しなかったはずの赤い服を着た男が西荻窪の街に舞い降りる!!

2014年12月12日金曜日

赤い服を着た謎の男を追え!

11月末。ようやく滞在場所が決まり、いよいよ本格的なリサーチがスタート。
これまでは昼間にチョロっと歩いて終わりといった感じだったけど、西荻レヂデンスという拠点が生まれたことで早朝や深夜も動けるようになった。ここから一気に急加速!!

駅前はクリスマスのイルミネーションが点灯し、場末な呑み屋では仕事帰りのサラリーマンたちが楽しく一杯やっている。近くの公園では酔っ払った爺さんが気持ちよさそうにベンチで横になっていた。

西荻窪には魅力的な老人たちがたくさんいる。呑み屋街を我が物顔で闊歩するチャップリン爺さんや、マスターヨーダに似ているケーキ屋さん、独自のお茶を販売するお茶屋さんなど、唯我独尊の生き様を見せている老人たちが西荻窪に実在しているのだ。

そんな中、今回は毎年クリスマスシーズンになると西荻窪に必ず出没するという謎の老人、赤い服を着た男をテーマに短編映画を制作することになった。この男と関係がありそうな人物達に出演をお願いし、インタビュー形式でお話を聞かせて頂く。

まず、ガンが治る奇跡の飲み物「神農三蟲茶」を販売しているお茶屋「きらく園」
西荻窪で最も破壊力のある店構え。齢86歳の店主と赤い男の関係とは!?



西荻で30年以上不動産を扱ってきた「幸福不動産」のおばあちゃん。これまで扱ってきた物件は1000件超!なんと赤い男に紹介した風呂無しトイレ共同の激安物件があったという。



親子三世代に渡って80年以上もお店を続いてきた「フジクリーニング」
ある日突然赤い服の男が現れ、このお店にとある頼み事をしてきたらしい。


日々シルクスクリーンの技法を研究しているという洋服屋のDavid&Jonathan、ここでは赤い服のが興味を示した洋服があるとのこと。赤い男のファッションセンスは いかに?


西荻デパートの中にある八百屋「八百富商店」では、世界中で懸念されている食の安全にも言及している。個人商店でありながら厳しいまなざしを持つ店主から見た、赤い男の人間性とは?


卵を抜いてアイスクリームを作っているアイスクリーム屋「BOBOLI」、そのこだわりの製法をどこからか聞きつけてやってきたという赤い男は毎回どんなアイスを食べるのか?



演劇や映画監督など表現者のお客さんが来る事が多いというカイロプラクティック「VIVACE」。ここでは赤い服の男の深刻な容態が発覚!



西荻窪の店主らの証言から浮かび上がってきたのは、赤い服を着た男にまつわる衝撃の実像だった。

果たして西荻に未来はあるのか!?

撮影はまだまだ続く。。。

2014年12月10日水曜日

公園のベンチから始まった都市型サバイバルプログラム

皆さんはじめまして。西荻窪に滞在することになった小鷹拓郎です。
西荻レヂデンスが始まって随分経ちますが、これまでの経過について少しづつ書いていきたいと思います。


10月初旬、西荻レヂデンスが始まった。しかし企画第一弾という事もあり、当初は制作場所どころか滞在場所もなく、知り合いもいない状態。

はじめは公園のベンチでスケッチを描いたりアイデアを練ったりしていたが、昼間っから呑んだくれてるおっさんに絡まれるし、雨が降ったら漫画喫茶に避難するしかない。さらに地元の人々と交流を持とうと無理矢理呑み屋に行ったがどーしょもない!

そこで西荻レヂデンスのボスである高村さんと話し合い、まずは西荻レヂデンスの拠点作りから始めようということに。ところが、これがまた本当に大変で、西荻窪は地方の街とは違い、空き家がほぼゼロの超繁華街。

店が潰れても即座に新しい店が入るため、なかなか良い場所が見つからない。見つかってもアクセスが悪かったり、家賃が高騰して全く手が出せないでいた。


そんな時に知り合ったのが「西荻案内所」というオルタナティヴスペースの皆さん。ここには西荻窪にまつわるエッジの効いた商品、地図、歴史など、あらゆる情報が揃っており、ひっきりなしにたくさんの人々が訪れていた。

彼らに相談したところ「ここのビルの4階が空いてるよ」というアドバイスを頂いた。後日不動産屋のおばちゃんを紹介してもらい、高村さんと部屋を見せてもらうことになった。

そこは西荻窪駅から徒歩三分で、西荻の街が一望できる四階建てビルの最上階。間取りは六畳一間の角部屋だ。もともと寿司屋の寮だったらしく、今でも下の階の住人が毎日シャワーを浴びにくる。

高村さんと相談して、西荻レヂデンスはこの六畳一間の角部屋を拠点に活動をスタートすることになった。小さい部屋だが、眺めは良いし、一階は西荻案内所があるし、西荻の街に食い込んでいくには最適の場所だ。


そして、気付けばこの拠点探しで一ヶ月!これはやばい!!

ということで、次回からはリサーチや制作について書いていこうと思います。

2014年12月7日日曜日

プロジェクト名は「西荻レヂデンス」


はじめまして!TERATOTERA(テラトテラ)の高村瑞世です!

TERATOTERAでは、今年10月より西荻窪で新しいプロジェクトを始めました。

プロジェクト名は「西荻レヂデンス」。

西荻窪は、中央線文化のかおりが色濃く残る東京23 区最西端のまちです。駅周辺には、店主の趣味が凝縮された個人経営のお店が集まり、大型チェーン店の進出などで日々均一化していく東京の中でも、このまちならではの文化を保ち続けている地域です。

「西荻レヂデンス」では、約2ヶ月間、アーティストが西荻に滞在し、このまちを舞台に作品を制作、発表します。まちの文化とアートの関係性、その間に生まれる表現の可能性を探ると共に、アーティストだからこそ見出せるこのまちの魅力を再発見することを目指しています。

そして現在、記念すべき第1回の参加アーティスト・小鷹拓郎さんが滞在中!!!

西荻にサンタクロースが実在するという短編映画を制作中です。映画の中では、西荻の人々がアドリブ演技に初挑戦!
このブログでは、アーティストが滞在中のレポートを発信していきます。
次回からは小鷹さんが更新します!

2日間限りの展示と合わせてお楽しみください~!
展示に関しての詳細はこちら。

http://teratotera.jp/event/nishiogi_residence/